耐久性能は

耐震性能と断熱性能はよく話題に上がるようになり、耐震性能レベルは等級3、断熱性能はG2レベルということが言われるようになってきました。でも耐久性についての内容はあまり聞こえてきません。
高性能な耐震・断熱を機能させるには、耐久性がないといけないと言われていますが…。
さて、どんなことでしょうか。

住宅の耐久性を大きく左右するのは「水」です。
水の発生要因は「雨漏り」と「結露」です。

結露
4人家族の場合、1日で発生する水蒸気量は9.4ℓにもなります。人体から4ℓ、炊事で1.6ℓ、家事で1.0ℓ、洗濯乾燥で0.9ℓ、入浴で1.3ℓ、その他0.6ℓです。
一升ビン(1.8ℓ)に換算すると5本分にあたる量になります。30日だと150本にもなりますが、さらにファンヒーターで暖を取る場合、灯油が燃えた分水蒸気が発生するので9.4ℓ/日にその分が追加され、すごい量の水蒸気が発生しています。

結露とは水蒸気が変化する現象であり、露点温度に達しなければ発生しません。
ちなみに、室温20℃、相対湿度50%の時、9.3℃になると結露が発生します。

結露に至る過程として移流(圧力勾配)と拡散(絶対湿度勾配)があります。

移流とは、温度差や風圧などの圧力差により、外壁に外気が侵入したり、室内の空気が天井や外壁に侵入することです。
拡散とは、絶対湿度勾配により、室内の水蒸気が壁体内へ流入することです。

換気が機能していない場合、住宅内の空気が吹き抜けや階段を経由して2階に移動します。1階より2階の外壁や天井・屋根部分の結露リスクが高くなります。そして、高湿な空気が壁内に入り込むと桁など木部が熱橋となって結露をし、腐蝕に至ることがあります。

結露計算で確かめるという手法も当然ありますが…定常計算の場合、水蒸気が透過する拡散(絶対湿度勾配)のみを前提に検討していますが、実際は材料の隙間からの移流(圧力勾配)の影響が大きいようです。

気流止め
最近は外壁の下地に耐力面材を貼り、耐力と気密を確保している施工が多いように見受けられますが、外側ではなく基本的に室内側に気流止めをしっかり設けることが重要になります。(現場発砲ウレタンの場合でも気流止めが必要です)

壁内に水蒸気を入れないということが前提ですが…厳密には気流止めを行っていても、時間をかけて侵入してきます。ゆえに、しっかり気流止めを行うことが必要になります。

通気層
断熱層に風が入り込み、静止空気が低温の空気と入れ替わると熱ロスが生じてしまい、それを防ぐのが防風層です。防風層の役割は耐力面材が担っていて、その上に透湿防水シートが貼られており、高い防風性能が担保されています。その防風防水層の外側に通気層が設けられ、外装材を超えて侵入してきた雨水を排出したり、断熱層に侵入した水蒸気を放湿する働きがあります。

通気層がないと雨水や結露水をせき止めることになり、腐蝕につながっていき、構造的な体力が保てなく、断熱性も弱まって行きます。

壁や天井のシミ・カビの発生は腐朽で壊れるまで発見されず、見つかったときにはかなりの重症です。直接目に見えないところでゆっくり侵攻していき、見つかったときには手遅れ…ということです。

雨漏れは契約不適合責任(かし保証)が問われますが、内部結露は問われません…。
問われないからなのか施工者・設計者は、どうして結露が発生するのか?理解していない方が多いようで…残念でなりません。

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